実際に株式会社設立してみましたので、その方法を説明します。いくつか躓くポイントを中心にご紹介いたします。

法人設立フロー

法人設立は、大きく以下の流れとなります。このフローについて詳細を後述いたします。

  1. 法人設立準備及び定款認証(公証役場にて)
  2. 資本金の入金(発起人口座に振り込む)
  3. 登記申請(法務局)
  4. 全部事項証明書・印鑑証明書取得(法務局)
  5. 税務署、年金事務所、地方自治体への届け出

1.法人設立準備及び定款認証

法人設立において費用を抑えるポイントは、定款認証を紙とするか電子とするかの違いだけとなります。紙の場合は、従来通り印紙代が4万円かかりますが、電子の場合は印紙代が無用となるため、この費用のみが節約できます。

電子認証は行政書士に依頼することが最短となり、概ね5千円程度で定款作成から電子認証の対応の手数料を支払うだけで出来てしまいます。

定款作成から電子認証までを一気通貫で対応できるサイトが複数あります。特に3サイトをご紹介しますが、電子認証による定款を手元に入手できるという観点において費用は、認証費用約5万2千円と行政書士への支払い5千円で価格に差はありません。キャンペーンや法人設立後のサービスへの申し込み次第で5千円が無料になるという相違はあります。

いくつも同じようなサイトがあると選定に迷うと思いますが、下記のようなわずかな相違から候補を絞れるかと思いますのでご参考にしていただければと思います。

サイト名ポイント
マネーフォワード 会社設立
公示の方法:官報・電子公告選択可能
資本金:現金出資のみ対応
定款受領方法:公証役場に自ら行く必要あり
ひとりでできるもん公示方法:官報のみ
資本金:現金・現物出資対応
定款受領方法:行政書士代理対応可能(追加料金発生)
【開業freee(フリー)】 公示の方法:官報・電子公告選択可能
資本金:現金出資のみ対応
定款受領方法:公証役場に自ら行く必要あり

2.資本金の入金(発起人口座に振り込む)

公証役場で定款を受領しましたら(紙の定款2通とCD-ROMに電子証明書付きの定款を受領)法務局に法人の登記申請を行う必要があります。この登記申請には、以下に示すような書類が必要になるのですが、払い込みがあったことを証する書面つまり、資本金を発起人口座に振り込みをした振込履歴を残す必要があります。

・設立登記申請書・収入印紙貼付台紙・発起人の決定書・就任承諾書(代表取締役、取締役、監査役)・払い込みがあったことを証する書面・印鑑届書・別紙

3.登記申請

2にて示した文書を揃えるには1で登場したサイトを利用するのが省力化となります。いずれのサイトも無料で提供しており、定款作成に必要な情報をベースに登記申請に関する書類を一式サイトにて自動作成してもらえます。

必要書類をもって設立する法人の所在地を管轄する法務局に赴く必要があります。株式会社では、15万の登録料を収入印紙を購入することで納めることとなります。数十分で受付終了となり、登記完了予定日を示した書類を頂けます。

4. 全部事項証明書・印鑑証明書取得(法務局)

登記完了予定日になったら、法務局に印鑑カード交付依頼を申請しカードを受領します。そのカードをもって、印鑑証明書を取得できます。加えて、全部事項証明書を取得します。この2種類の文書は、法人銀行口座作成等に使用することになりますので、法人設立後どのような手続きをするかを登記申請完了後から調査するのが良いと思います。必要枚数が割り出せると思います。

5.税務署、年金事務所、地方自治体への届け出

ここで必要な届出書は、共通して法人番号を求められます。個人番号(マイナンバー)の法人バージョンです。法人指定通知が郵送されてきますのでご安心ください。一方、登記完了前後から郵便局から法人設立した住所に郵便物を配布してよいかの通知が来ますのでポストの中身は小まめに確認しましょう。また、インターネットで登記完了予定日前に会社名検索すると法人番号がわかります。

法人設立ワンストップサービス

さて、複数個所の役所に書類を提出することは手間と時間がかかりますが、法人設立ワンストップサービスを利用するとオンラインですべて完結しますので、このやり方をご紹介いたします。

1.サイトの下記ボタンを押すと問診が始まります。

2.かんたん問診・申請といいながらも、問診内容が難しい部分があると思いますが、 法人設立準備及び定款認証 にてご紹介した3つのサイトでは、提出に必要な書類がすべてそろっているので、問診結果内容で提示される書類一覧と整合を取ればよいと思います。

下記は、役員のみの株式会社を設立することを想定した場合の問診結果とマネーフォワードで提示される書類の比較となります。黄色部分が、両者での相違部分となります。マネーフォワードで紹介される書類が必須内容をしっかりとおさえていることがわかるとおもいます。必須でない書類については、必要性を確認する必要があります。

電子申告・納税等開始届出に関して、法人税納める際に必要になりますので、ワンストップサービスに従って提出することをお勧めします。

事業所等新設・廃止申告については、以下の要件を満たすときが対象となる一方、例えば東京都では、法人を設立した場合、都内に初めて支店等を設置した場合、法人設立・設置届出書を所管の都税事務所(都税支所)・支庁に提出してください(東京都都税条例第26条第1項、都税条例規則第12条の2)とあり、届け出しない選択肢がないように思われます。

【資産割】
市町村の事業所床面積(非課税床面積を除く)の合計が1,000㎡を超えると、資産割が課税となります。
【事業者割】
市町村に業者数(非課税従業者数を除く)の合計が 100 人を超えると、従業者割が課税となります。

健康保険・厚生年金保険新規適用届については、年金事務所のHPに下記のように事実発生から5日以内に届け出る必要があります。

事実発生=法人設立日=法務局に登記申請した日 となりますが、実際に登記が完了するまでの日程は5日を過ぎてしまいます。役員報酬をゼロ、従業員ゼロの場合は、法人設立しただけでは事実発生に当たらないため、手続きが無用となります。(実際に年金事務所に問い合わせて確認済み事実)

以上を踏まえて、ワンストップサービスの申請するボタンを押していきます。

3.申請するを押したのち、マイナンバーカードを読む取る機器が必要になることがわかります。

ICカードリーダライタを準備し、PCのUSBに差し込んでください。この際、ICカードリーダライタにマイナンバーカードを設置しないでください!この状態で、カードを読み取るボタンを押し、下記のポップアップがでたのち、ICカードリーダライタにマイナンバーカードを設置するとうまく読み取りができます。この段取りを間違えると読み取りエラーが発生します。

4.帳票類に記入をしましょう。ここで入力情報に迷いがある場合、ご紹介した3つのサイトから生成された提出書類内容を確認すれば、概ね解消できます。

5.入力して申請をすると申請したファイルを取得できます。下記のように自動で番号が採番されファイルが送付されていく控えを入手できます。

6.申請状況を確認するためには、ワンストップサービスのトップ画面に戻り申請状況の確認を押して確認することになります。

申請直後に確認すると、「送信中」というステータスになっており、送信できていないのかと不安になりますが、時間差でステータスが変わっていきます。登録したメールアドレスに随時更新情報が流れてきますので、メール確認後に申請状況を確認するほうがスムーズです。

以上、法人設立までの費用と労力を最小化する流れをご紹介いたしました。あくまで、一例であり参考記事としていただきたくご理解のほどよろしくお願いいたします。